常駐型フリーランスという就業形態のデメリットは?

IT・フリーランス
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こんにちは。望田和希 (もちだかずき) です。

 

IT系のフリーランスエンジニアの就業形態に、
常駐型フリーランスというものがあります。

これは客先(クライアント)の職場に
常駐して仕事をする
フリーランスのことを指しています。

 

フリーランスに仕事を紹介する
エージェント会社の宣伝にも、
「常駐型フリーランスになろう」
といった文言があります。

 

 

これだけを見ると、
常駐型フリーランスが
推奨されているように見えますが、
果たしてそうでしょうか?

 

記事では、
この常駐型フリーランスという
就業形態のデメリットについて
書いていこうと思います。

なお、デメリットだけを書くと
フェアではありませんので、
別記事で常駐型フリーランスのメリット
についても書こうと思います。

常駐型フリーランスの就業形態にあえてメリットを挙げると
こんにちは。望田和希 (もちだかずき)です。 IT系のフリーランスエンジニアの就業形態に、 常駐型フリーランスというものがあります。 これは客先(クライアント)の職場に 常駐して仕事をする フリーランスのことを指しています。 フリーランスに...

 

常駐型フリーランスにはこれだけのデメリットがある

常駐型というのは上にも書いたように、
客先の職場に常駐することを意味します。

 

常駐というのは
要するに出勤するということです。

サラリーマンのようにです。

 

えっ?フリーランスなのに「出勤」するの?
……と思われるかもしれませんが、
常駐型とはそういうことです。

 

他にもこんなデメリットがあります。

 

偽装請負の温床

フリーランスは多くのケースにおいて、
準委任契約で仕事をすると思います。

(準委任契約について
この記事では触れません)

 

準委任契約では客先の社員が
直接指揮命令することを禁じています。

 

しかし実際は
客先の社員が準委任契約のメンバに対して、
直接指揮命令をすることが多々あります。

「○○さん、この仕事をやってもらえませんか?」
という感じで、口頭やメールで指示が来ます。

 

指揮命令できるのは
所属会社の社員のみですが、
フリーランスの場合は
そもそも所属会社がありません。

所属会社は自分自身です。

 

 

この「客先の社員が指揮命令する」行為が
偽装請負と呼ばれ、違法行為です。

(この場合、フリーランス本人が
罪に問われることはありません)

 

Wikipedia の「偽装請負」の項目には
以下の記述があります。

 

大手製造業の行為を指すことが多いが、情報処理業界やコンサルティング業界でも、請負契約でありながら、発注者の事務所などにプログラマー・システム技術者・コンサルタントが常勤(客先常駐)し、事実上発注者の指揮・命令下に置かれるケースがある。これも「偽装請負の一類型」だと指摘されている。

 

 

このあたりの話を理解するには、
請負契約とか準委任契約とかいう
契約形態について知っておくことが必要なのですが、
ここでは上の引用にもあるように、
「発注者(客先)の指揮・命令下に置かれる」
ことと理解してください。

 

 

エージェント会社経由の場合は、
エージェント会社が所属会社になりますので、
そのエージェント会社が
指揮命令すれば合法になりますが、
実際そんなことはしていないはずです。

 

なぜなら、エージェント会社に
マネジメントできる人はいないからです。

ここの穴を抜けるために、
発注書を出すことで
エージェント会社からの「発注」
という形の指揮命令にしています。

 

 

しかしながら、
発注書があれば客先の社員が
指揮命令して良いかというと、
そんなことはありません。

発注書があったところで、
指揮命令があることには変わらないからです。

 

 

なぜ偽装請負がダメなのかは、
下記リンク先の記事が非常に参考になります。

 

要旨は、
「自社で雇用しないことで労働者保護をせず、
一方で命令する権利だけ持ち、奴隷扱いしている。
指揮命令したいのであれば
雇用のリスクを負え」ということです。

 

フリーランスの場合は
そもそも雇用されていませんので、
労働者保護の前提がありません。

地雷な客先だと「命令する権利と奴隷扱い」の
リスクが
いっそう顕著となる恐れがあります。

しかも労働者保護はありませんから、
自己責任で守るしかありません。

 

詳細はリンク先の記事を読んでください。

偽装請負を行う企業の何が卑怯なのかをまとめてみた | 株式会社アクシア
偽装請負についてこのブログでも徹底して批判をしてきていますし、偽装請負が問題であることは多くの人が体感的に感じていること…

 

サラリーマンと変わらない?

常駐型フリーランスでは、
決められた職場に、
決められた時刻に出勤することを
強いられます。

天候の厳しい時でも、
体調がすぐれない時でも、
出勤しないといけないかもしれません。

 

これって、
サラリーマンとなんら変わりません。

 

 

本来、フリーランスって、
仕事をする場所も時間も自由であるべきです。

にもかかわらず、
サラリーマンと同じ就業形態
というのは違和感を感じます。

 

 

また、退勤時刻も客先に決められ、
用事などで休みたいときは
客先の了解が必要です。

 

なぜ、退勤時刻や休みの了解を
取らないといけないのでしょう?

こうして、
フリーランスになったにもかかわらず、
サラリーマン意識から抜けない状態となります。

 

サラリーマン意識から
抜けないことで生じるデメリットが次です。

 

事業主としての意識が生まれてこない

事業主というのは「決める」ことが
仕事の一つになります。

どうやって仕事を進めて
いくのかを「決め」ます。

 

いつ、どこで、どれくらいの期間
仕事をするのか、これらを決めます。

 

 

決められることは
自由であることの表れですが、
同時に責任も負うことになります。

 

出勤場所や就業時間を
客先(他人)に決められることは、
ある意味「楽」です。

言われた通りに従っていればいいのですから。

 

 

しかしこれでは「自分で決める」という
事業主意識が生まれにくいと言えます。

 

実は私も常駐型フリーランスを
長年続けてしまったために、
サラリーマンフリーランスの
状態が続いていました。

その結果、
事業主としての意識が欠如していると、
フリーランス仲間の一人から忠告を受けました。

 

仕事環境を選べない

常駐型では仕事で使うPCなどは
客先が準備してくれるでしょう。

設備投資をしなくていいのは利点ですが、
その仕事環境を自分で選ぶことは難しいです。

 

客先によっては
自分の好きな性能のPC
備品として買ってくれることがありますが、
そういう客先は非常に稀です。

(幸い私は好きな備品を買ってくれる
客先で長く仕事ができたのは
ラッキーでした)

 

 

フリーランスになる方なら、
PC環境にはこだわりを持っているでしょう。

 

とくに入出力機器となる、
キーボード、マウス、モニタは
気に入ったものを使いたいです。

 

しかし、客先のお仕着せの環境では難しいです。

キーボードやマウスなら
私物持ち込みを許してくれても、
モニタは難しいでしょうね。

 

PC が数年前の低スペックという
ケースもよく聞きます。

高スペックの PC を買っても、
その投資金額なんてわずか10〜20万円ですし、
そのわずかな投資さえケチる
客先は地雷といえます。

 

 

PC以外にも、
仕事環境そのものがダメダメ
というケースも少なからずあります。

 

よく言われる、
長机にパイプ椅子といった
人権無視ともいえる劣悪な環境です。

 

パイプ椅子は長時間座るには適さず、
健康にも悪影響があるでしょう。

 

加えて長机ではタコ部屋と言えます。

 

 

他にも空調の暑い寒い、
喫煙者の発する体臭、
職場の騒音、照明の具合などなど、
仕事環境が合わないと
それがストレスになります。

こういった仕事内容以外のクレームは
エージェント会社や客先に言っても
真面目に対処してくれないことが多々あり、
ますますストレスになります。

 

まとめ

常駐型フリーランスのデメリット
について記事にしました。

 

常駐型フリーランスを勧める
エージェント業者はメリットだけでなく、
デメリットもきちんと伝えることが
責務と考えます。

 

サラリーマンにメリットと
デメリットがあるように、
フリーランスも同様です。

フリーランスになりたいと思う人は、
常駐型を選んだ際に
こういったデメリットがあることを
踏まえた上で決めてくださいね。

 

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